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補聴器を使用できるまで
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補聴器を使いこなす条件は……

  • 1.正しい聴力の把握
  • 2.耳の状態の把握
  • 3.正しい機種選定
  • 4.フィッティングルールを守るための聴覚リハビリテーション
  • 5.フィッティングルールに到達
  • 6.その状態からの微調整と慣れ
以上の条件を満たすために以下の行程を経て最終目標の違和感なく十分聴こえる状態に持って行くのです。
耳の状態と聴力の把握が正しくできないと機種選定が間違ってしまいます。
出力が足りなかったり、低音が必要な人にオープンフィッティングをしてしまったりします。
また難聴歴が長いと脳が難聴の脳(音自体を受け入れがたい状態)になっているので音に慣らす必要があります。
そして最終的にフィッティングルールに到達し、その後も微調整を繰り返しながら違和感なく聞こえる状態に持って行くよう努めます。
どれ一つ欠けてもうまくいきません。それらを踏まえたうえでフィッティングプロセスを進めていきます。

補聴器装用に至るまでの過程

難聴の現状把握(難聴の程度や特徴の把握を一般外来で行います。)

  • 1.検査(ティンパノメトリー、標準純音聴力検査、標準語音聴力検査)
    滲出性中耳炎の有無、難聴の程度、聴力型、聴取能力を把握します。
  • 2.適応判定
    補聴器による効果が見込めそうか判定します。
  • 3.耳の状態の把握
    医学的に気導補聴器(一般的な補聴器)の装用が可能か耳の状態を見ます。気導補聴器は、中耳奇形、慢性中耳炎があると使用できないことがあります。他の補聴装具の検討も行います。気導補聴器以外には、骨導補聴器、軟骨導補聴器、BAHA、人工中耳、人工内耳などがあります。また耳垢などで音の通りが悪くないかの確認も行い必要があれば除去します。

補聴器外来の出番

  • 4. ファースト・フィット
    純音聴力の値からフィッティングルールに基づいてコンピューターが計算した出力データを補聴器に送ります。
  • 5.微調整
    初めての時にフィッティングルール通りに聴かせるとやかましく感じるので我慢できるレベルまで微調整します。
  • 6.音場閾値検査
    補聴器を装用したままスピーカーから出る音で閾値検査を行いどれくらい利得を得られているか調べます。これをファンクショナルゲインと言います。これが、閾値の半分くらいにするのが最終目標です。
  • 7. 言葉のききとり検査
    スピーカーから出る単音(”ア”とか”カ”とか)がどれくらい聞き取れているか検査します。
  • 8. 聞き間違いの修正
    単音は「メ」と「ネ」とか「パ」と「バ」など間違いやすい音があるので聞き間違っている場合は、修正する練習をします。
  • 9. 装用・取り扱い・保存法の指導
    試聴機を貸し出して実際の生活の中で使用していただきます。原則起床時から就寝時まで装用するのが原則です。途中聞き疲れや耳の違和感などで休憩するのはOKですが少なくとも10時間は装用していただいております。
以上が1セッション目のセッションです。
2セッション目からは「3.耳の状態の把握」「5.微調整」「6.音場閾値検査」「7.言葉のききとり検査」「8.聞き間違いの修正」を繰り返していきます。

2回目からは、生活上での使用でどうであったか詳しく聞き取り問題があればそれを解決するために綿密に調整していきます。

月2回セッション行い6セッション(3か月)でだいたい問題が解決され使用機種も決まります。このころには、補聴器にもだいぶ慣れてきておりますので購入しても使えないということはほとんどありませんのでここでやっと購入に至ります。
まだ効果が不十分と判定すれば、あと2−3セッション追加します。
  • ここまでやるの?
    いかがでしょうか? もう少し簡単にできると考えられていたのではないでしょうか? ここまでやるかと言われるほどやらないとうまくいきませんし、我々はこれが最小限必要なことだと考えています。
    補聴器の調整とともに聴覚リハビリも行っていることが理解できたでしょうか?
    セッション中に調整を行い、日常生活で聴覚リハビリを行っています。
  • うまくいかない場合
    セッション数も8を超えてもうまくいかない場合は補聴器が使えない確率も高くなります。高度難聴以上の難聴や語音聴取能が低い場合、本当に補聴器を必要としていない場合は、補聴器の活用に失敗することが多いようです。ご本人や家族と相談して補聴器の装用を断念するかどうか決めます。本人の意欲等を考慮してこちらから断念するようにお勧めすることもあります。
  • 聴覚リハビリテーションセンター
    補聴器を十分に活用するには、利得(ボリューム)をターゲットゲインにする必要があるのですがいきなりするとうるさくて着けれいられないので段階的にゲインを上げていきます。補聴器販売をする以上補聴器リハビリテーションセンターである必要があります。マジでそこまでやる施設でなければなりません。